シルクと言えば、さらりとした肌触り、つややかな生地をイメージしますよね。
そんなシルク生地、実は1種類だけではないのです。
生糸を使った生地と言え、様々な種類があるシルク。
奥深いシルク生地の世界をちょっとだけご紹介します。ぜひご覧ください。
シルクの種類
生糸(=シルク)とは、蚕のまゆを製糸し、
引き出した極細のまゆ糸を数本揃えて繰糸(くりいと)の
状態にしたもの。
生糸を組み合わせることで、多くの生地が生まれ、今に至っています。
1.正絹(しょうけん)
2.絹紡糸(けんぼうし)
3.絹紡紬糸(けんぼうちゅうし)
4.野蚕糸(やさんし)
5.撚糸(よりいと/ねんし)
6.玉糸(たまいと)
7.真綿(まわた)
8.紬糸(つむぎいと)
順番に見ていきましょう。
1.正絹(しょうけん)
正絹とは、生糸100%の糸やその織物をさします。
着物に使われる生地としても知られていますね。
混じりけのない生糸100%は、うっとりするような肌触りが特徴。
ルルルが取り扱っている商品でも、シルク100%の商品は特に人気です。
ちなみに、生糸にはランクがあります。
全部で8階級があり、一番下からC、Bランクと徐々に上がっていき、最高峰が6Aランク。
6Aランクは、シルク供給量の10%未満しかない貴重な素材。
ルルルでは、この6Aランクの生糸をふんだんに使った商品もご用意しております。
2.絹紡糸(けんぼうし)
絹紡糸とは、生糸のくずを綿にして練って紡いだもの。
生糸には不向きな糸や、品質の良い生糸が取れなかったまゆの糸を、紡績して作り出します。
生糸に比べて光沢感や滑らかさが劣りますが、ふっくらとした肌触りが特徴です。
正絹に比べて劣っているイメージがありますが、
絹紡糸ならではの良さがあり、優劣を競うものではありません。
製品によって生地を使い分けることが重要。正絹に比べて生地の価格が安価なことも特徴です。
3.絹紡紬糸(けんぼうちゅうし)
絹紡糸を作る際にでた毛足の短い綿などを紡績した糸。
毛足が短いため、光沢がないものの、綿のような肌触りと風合いが楽しめる生地です。
4.野蚕糸(やさんし)
屋外で飼育されたまゆから作られる生糸のこと。
特に流通量が多いのが山繭(やままゆ)とも呼ばれる柞蚕(さくさん)です。
屋内で飼育されたまゆに比べ太さがあり、すこしザラついた絹糸。
油分が多くて染めにくいですが、優しい肌触りです。
5.撚糸(よりいと/ねんし)
文字通り「撚り」をかけた糸、またはそれをさらにより合わせた糸のこと。
弱く撚ると「ちりめん」となって、独特なシワの風味がある絹布に。
強く撚って「水ねり」すると、復元力があってシワになりにくい絹布ができます。
ちなみに、撚りの方向には2種類があります。
・右撚(S撚り):右回りで撚る
・左撚(Z撚り):左回りで撚る
撚り方によって、生地の風合いや光沢に影響がでます。生地は面白いですね。
6.玉糸(たまいと)
2匹以上の蚕が1つのまゆを作ることがあり、節の多い太めの糸になります。
これが玉糸です。別名、節糸とも呼ばれます。
もともと売り物にならず普段着として使われましたが、織りのユニークさでの人気もあります。
7.真綿(まわた)
蚕のまゆを煮て引き伸ばして綿にしたもの。
空気を含んだ、毛糸のような感じに仕上がります。
真綿を使った布団は高級品として扱われていますね。
ちなみに、呼び名が同じコットン(綿)とは異なります。
コットンは綿花を原料とした植物性の繊維ですね。
8.紬糸(つむぎいと)
副蚕糸や真綿を紡いで、撚りをかけて作った糸のこと。
副蚕糸とは繭の蛹肌(さなぎはだ)で、繭の最内層です。
繊維が細すぎて繰糸に適さないため、真綿と紡ぐことで糸にしています。
まとめ
シルクと言っても様々な種類の糸がありましたね。
品質の優劣をつけるというより、それぞれの特徴や風合いを生かした
生地や製品を作ることが、シルクを楽しむ秘訣かもしれませんね。
豆知識
料理を作るときに、「腕によりをかける」
仲直りをするときに、「よりを戻す」このような言葉を使いますよね。
これらの「より」は今回ご紹介した、「糸を撚る」が語源とされているのですよ。